2011年頃からテレビの人気番組や雑誌で取り上げられて話題になった塩麴。
ですが、塩麹は日本に古くから伝わる調味料で、野菜や魚の漬け床として使われていました。
塩麹は、塩と麹を混ぜ合わせ、麹菌を発酵させて作る発酵調味料です。
お肉や魚を漬け込むと柔らかくなり、旨味が引き出されて美味しくなることからブームとなり、いまでは各家庭で万能調味料として重宝されています。
塩麹は、塩の代用はもちろん、食材を柔らかく・美味しくするだけでなく、塩分も控えられるので健康づくりにも効果があります。
今回は、塩麹が持つさまざまな効果・作り方・使い方、そして意外な⁉使い方を紹介します。
1. 塩麹とは
塩麹は、麹・塩・水を混ぜて発酵、熟成させた日本の伝統的な発酵調味料です。
塩麴の味の特徴
塩麹の見た目はトロ~としたお粥のようなもの。
味については塩の味に発酵した麴の甘味が加わり、まろやかな塩辛さを感じる甘塩の味。
麹とは
麹は、麹菌という食べられるカビです。
塩麹とは塩で麹菌を繁殖させたものなのですが、昔はどの家庭でも塩と水に麹を混ぜた漬け床がありました。
食品の保存性を高める能力がある麹は、冷蔵庫や防腐剤がなかった時代、とても重宝されていました。
麹の酵素
麹にはとてもたくさんの種類の酵素が含まれています。
その中でも注目されているのは「三大消化酵素」と呼ばれるもの。
アミラーゼ…でんぷんを糖に分解して甘みを出す。
プロテアーゼ…たんぱく質を分解して柔らかくする・アミノ酸に分解して旨味を出す。
リパーゼ…脂肪を脂肪酸とグリセリンに分解してさっぱりさせる。
これらの酵素の働きにより、塩麹に漬けた肉や魚は柔らかくなり、野菜も味が染み込んで旨味が増すのです。
塩麹の何がいいの?
塩麴に漬けておくだけで美味しくなる!
その秘密は、麹の持つ酵素『プロテアーゼ』と『アミラーゼ』のパワーです。
『プロテアーゼ』は、たんぱく質を分解して食材を柔らかくします。
同時に、たんぱく質をアミノ酸に分解して、旨み成分をグンとアップしてくれます。
塩麹以外の調味料は必要ないくらい、おいしく仕上がりますよ!
塩麴で減塩・減糖できる!
塩麹に含まれる塩分量は、塩の約1/4なので、減塩効果が期待できます。
料理では塩の代わりに塩麹を使用する際、倍の量が必要(塩小さじ1の場合、塩麹小さじ2が必要)になるのですが、塩麹に含まれる塩分量は塩の約1/4です。
つまり、塩小さじ1と、塩麹小さじ1/4の塩分量が同じ。
そうすると、たとえ倍の使用量が必要だったとしても、塩分量は塩の半分で済むということになります。
私は、塩麹を手作りするようになってから、スープに市販のコンソメを使わなくなりました。
塩麴だけで十分美味しくいただけます。
特に、シンプルな野菜スープは素材の旨みが引き立ちます。
また、ミネストローネを作るときは、スープの素に塩麴を使い、乾燥しいたけを細かく割り入れます。
旨みの相乗効果で他の調味料を使うことなく、バジル・オレガノ・タイムなどのハーブで仕上げます。
塩麹は酵素のパワーで旨みやコクが増すので、他の調味料を減らせます。
安心して色々な料理に使えますね。
塩麹は発酵食品なのでからだにいい!
・腸内環境を整える
酵素とオリゴ糖の作用で、腸内の善玉菌を増やして胃腸の働きをサポートしてくれます。
・疲労回復・免疫力の向上・動脈硬化の予防
ビタミンB群は、お互い助け合いながら、脳や神経、皮膚などを健康に保つビタミン。
私たちが生きるための源であるエネルギーをつくるのに欠かせない栄養素です。
発酵食品である塩麴には、ビタミンB群がたっぷり含まれています。
ビタミンB1.B2.B6.B12.ナイアシン.パントテン酸.葉酸.ビオチン、ビタミンのてんこ盛りです!
・美肌効果
コウジ酸がメラニンの生成を抑制し、美白を促します。
2.塩麹の使い方
塩麴で肉や魚を漬ける
キッチンペーパーなどで表面の水分を拭き取ったあと、塩麹をまぶしてジップロックなどに入れ、冷蔵庫で2~3時間程度、できれば一晩味をなじませる。
あとは、冷蔵庫から取り出し、フライパンで焼くだけ。驚くほど肉質がやわらかく、旨みが感じられます。
※塩麹漬けした魚はそのまま焼くと焦げます。キッチンペーパーで表面の塩麹をふき取り、フライパンにクッキングシートを敷いて焼いてくださいね。
塩麹を和え物や炒め物に
カットした野菜などと塩麹を和えるだけで簡単で美味しい一品になります。
複数の調味料を使わずにできるので、忙しい朝やもう一品欲しいときにも大活躍です。
また、炒め物も塩麹ひとつで味が決まります。
食材を炒めたら塩麹を絡めるだけであっという間にできあがり!
塩麴をスープに
みそ汁・ポトフ・ポタージュなどさまざまなスープに塩麹を少量加えてみてください。
いつもとは一味違ったコクのある仕上がりに!
メイン食材にいきなり使うのが心配な人は、隠し味程度から始めてみてはいかがでしょうか。
塩麴をスイーツに
塩麹は、意外⁉にもスイーツとも相性抜群!
甘いバニラアイスクリームに混ぜると、塩気とうま味が合わさってまろやかな味に仕上がります。
アイスの他にも、スイカにかけても甘味が増して美味しくいただけます。
「あまい」×「しょっぱい」の「対比効果」を堪能してみてください!
3. 塩麴の作り方
お塩はしっかり分量を守って入れてくださいね!
「塩分が気になるから、お塩は少なくしよう・・・」
と思って塩の量を少なくしてしまうと、塩分が足りず、塩麹が腐敗しやすくなります。
塩は粗塩など天然塩がおすすめ!
塩辛くなり過ぎず、風味良く仕上がります。
<塩麴の作り方> 存容器で常温発酵
材料
- 米麹 100g
- 塩 30g(麹の約30% 程度)
- 水 150cc
作り方
- 保存容器を熱湯消毒します。
- 米麹は両手でこすり合わせるようにして1粒ずつほぐします。(※かたまりが残っていると雑菌が入りやすい)
- 保存容器に米麹と塩を入れてよく混ぜます。
- 水を入れてとろみが出るまで混ぜます。
- 3~4時間後ひたひたになるまで水を足します。
- 直射日光が当たらない冷暗所で常温保存し発酵させます。(※夏は約1週間・冬は約10~14日間)
- 1日1回かき混ぜます。
- おかゆのようにドロドロになったら完成。
※発酵の過程でガスが発生するので少し大きさに余裕のある容器にしてください。
<塩麴の作り方> ヨーグルトメーカー
材料
- 乾燥米麹…200g
- 塩…70g(麹の約30% 程度)
- 水…200~250cc
作り方
- ヨーグルトメーカーの容器とスプーンを熱湯消毒かレンジで消毒します。
- 米麹は両手でこすり合わせるようにして1粒ずつほぐします。
- 消毒した容器にほぐした米麹と水と塩を入れてよくかき混ぜます。
- 本体にセットして60度で6時間(冬は8時間)にセットしてスタートです。
- 指で米麹がつぶれたら全体をよく混ぜて冷蔵庫で保存。
<塩麴の作り方> 炊飯器
(炊飯器で保温30分)
材料
- 乾燥米麹…200g
- 塩…70g(麹の約30% 程度)
- 水…200cc(湯冷ましorミネラルウォーター)
作り方
- 水200ccを沸かして、60℃のお湯を準備しておく。(※60℃以上になると麹菌が死滅するので要注意)
- 麹をかたまりがなくなるまでほぐす。
- 炊飯器に麹とぬるま湯を加え、よく混ぜる。(※塩はまだ加えません)
- フタをして、保温で30分。
- 塩を加え、混ぜたら完成。
- 煮沸した保存容器に入れ、冷蔵庫で保存します。
※炊飯器によっては温度があがりすぎるものもありますので、その場合ふたを開けたまま保温します
塩麹は冷蔵庫で約3か月保存できます。
冷凍では塩麹が発酵することがないので長期保存もOKです。
私は完成した塩麴をミキサーにかけてペースト状にしています。
お米の粒々が気にならなくなりますよ!
4.塩麴のおすすめレシピ
塩麹ナムル
材料
- ごま油 大さじ2杯
- 塩麹 大さじ3杯くらい
- えのき 1個
- もやし 1パック
- ほうれん草 1束
- 黒ゴマ 適量
※ニンジン、ニラなどを入れても美味しくできます。
作り方
- 野菜を食べやすいサイズに切ります。
- 鍋にお湯を沸かして、野菜を茹でます
- 野菜に火が通りましたら、ざるにあけます。
- ごま油(大さじ2)と塩麹(大さじ3)で味付けをしていきます
- 最後に黒胡麻をまぶして完成です。
豆腐の塩麴漬け【タサン志麻さんのレシピ】
材料
- 豆腐 …… 1丁
- 塩麴 …… 大さじ2
作り方
- 豆腐は4等分に切り、ペーパータオルではさんで水切りする。
- 塩麹を全面に塗りながら、一つずつラップにくるむ。
- 密閉容器に入れて、冷蔵室で保存する。
※日ごとにコクが増し、1週間後は味も香りもチーズ!
今回は万能調味料、塩麹の作り方・使い方を紹介しました。
まずは、市販のものでもいいので使ってみてください。
一度使えばその魅力を実感していただけるとおもいます。
塩麹は、日本の伝統的な調味料ですが、和風の料理に限らず、中華風や洋風の料理、そしてスイーツにも使うことができます。
シンプルなお料理も、驚くほど美味しく仕上がるので是非試しくださいね!
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