みなさん、「甘酒」ってどんなイメージをおもちですか?
かつてはお正月やひな祭りに飲むイメージが強かった甘酒ですが、豊富な栄養を含んでおり、健康効果のある飲み物であることから健康食品として一年中見かけるものになりました。
甘酒は栄養が豊富なことから「飲む点滴」と言われ、健康ドリンクとして注目を集めています。
また、「夏の季語」といわれる甘酒は、夏バテ防止や滋養強壮を促す飲み物として、昔から現在に至るまで、多くの人に愛飲されてきました。
まさに古くから受け継がれている日本の伝統的な飲み物です。
今回は、甘酒の効能をはじめ、おすすめの飲み方・作り方・知っておきたいデメリットまで、詳しく紹介します。
甘酒の効果
・甘酒とは
甘酒とは、米麹や酒粕を主原料とした「甘~い」飲み物です。
甘酒と聞くと、「お酒じゃないの?」と思っている人もいるかもしれません。
甘酒には2種類、酒粕から作られる酒粕甘酒と、米麹からつくられる麹甘酒があります。
酒粕甘酒は、お酒を作る際に出る酒粕が材料なので微量ながらアルコールが含まれます。
販売されている酒粕甘酒の多くは、アルコール量が1%以下のため、ソフトドリンクに分類されます。
一方で、麹甘酒はアルコールが含まれないため、妊婦さんや小さなお子様でも安心して飲むことができます。
栄養価が高く、育ち盛りの子どもや、赤ちゃんを育てる妊婦さんにもおすすめの飲み物です。
・米麹甘酒
- 原料:米麹
- アルコール:含まない
- 砂糖:入っていないが甘味がある
- 特徴:ブドウ糖や必須アミノ酸、ビタミンが豊富で”飲む点滴”と呼ばれている。
・酒粕甘酒
- 原料:酒粕
- アルコール:少量含む
- 砂糖:入っている
- 特徴: コクがあって濃厚・独特の味わい。ダイエットに役立つ※レジスタントプロテインが多い。
※レジスタントプロテイン とは、体内の 消化酵素 で分解されにくく 食物繊維 様の生理機能を有する タンパク質 である。
ここからは、この麹甘酒を中心に話を進めていきますね。
・甘酒の健康効果
便秘の解消
甘酒に含まれる食物繊維とオリゴ糖は腸内環境を整える働きがあります。
オリゴ糖には、腸内の善玉菌を増やす働きがあり、食物繊維には腸を刺激する働きがあるため排便がスムーズになります。
腸内環境が整うことで便秘の予防や解消に効果が期待できます。
特に、普段便秘がちの人やダイエット中の人には、食物繊維が豊富な酒粕甘酒の方をおすすめします。
疲労回復
疲労の原因はエネルギー不足。
甘酒に含まれている麹菌は消化吸収を助ける働きがあり、栄養を吸収してすばやくエネルギーに変換します。
また、腸内の善玉菌の餌となり、免疫活動を活性化させて免疫力を高めてくれるので、疲れを感じるときや体調を整えたいときにもおすすめです。
血圧上昇を抑制
甘酒に含まれるGABA(γ-アミノ酪酸)というアミノ酸は血圧上昇を抑制する働きがあります。
GABA(γ-アミノ酪酸)は体内で主に抑制系の神経伝達物質として働き、精神を安定させる役割を担っています。
GABA(γ-アミノ酪酸)の機能に血圧低下作用・脳機能改善・リラックス効果があります。
抗酸化作用
近年の研究で、米麹から作られている甘酒に「エルゴチオネイン」が含まれているということがわかりました。
「エルゴチオネイン」は抗酸化作用に優れた天然のアミノ酸で、キノコの一種や麹菌などの一部の微生物しか生成することができない、大変希少な成分だそうです。
ビタミンCよりも抗酸化力が高いとして注目されています。
抗酸化作用により活性酸素を抑制し、動脈硬化やがんなど多くの生活習慣病の予防に効果があります。
また、強い抗酸化力で老化の原因となる活性酸素を抑制してくれるので、アンチエイジング効果が期待できます。
・甘酒の美容効果
美肌&美白
甘酒には、ビタミンB2やB6など、ビタミンB群が豊富に含まれています。
ビタミンB群はたんぱく質の代謝を助ける作用があり、肌のターンオーバーを活発にすることで、肌の老廃物が流れやすくなります。
こうしたビタミンB群の作用により、皮膚や粘膜を健康に保つ効果が期待でます。
甘酒の原料「麹」には、コウジ酸が多く含まれています。
このコウジ酸は、コウジ酸はメラニンの生成を抑えてくれる成分です。
メラニンは黒くなるときに酵素が働くのですが、コウジ酸はこれを抑えてくれます。
このことから、コウジ酸には美白効果があるといわれています。
甘酒に豊富に含まれるコウジ酸には美肌・美白成分も含まれているので、お肌を綺麗に保ちたい女性にとっておきの飲み物といえますね!
美髪
麹甘酒に多く含まれている「ビオチン」。
「ビオチン」はビタミンB群の一種で、髪の毛の主成分であるケラチンの合成を助ける作用があり、しっとりツヤツヤの美髪にしてくれます。
育毛や発毛の作用、髪の毛の艶やハリコシなど、健康な髪づくりをサポートしてくれる大切な成分です。
・甘酒のダイエット効果
甘酒に多く含まれるブドウ糖には、血行と代謝を促進するほか、空腹感を抑えたり、食べ過ぎを防止したりする効果があります。
お腹が空いたときや食事の前に甘酒を飲めば満足感が感じられ、食欲を抑えることができます。
甘酒は甘味があって美味しく、満足感がありながら、空腹感を抑えられるので、ダイエットの強い味方!
間食がなかなかやめられない人やダイエット中で食事制限をしている人におすすめです!
また、ブドウ糖の摂取により、集中力や学力、記憶力アップ・水分と塩分を一緒に補給することで、熱中症対策にも効果が期待できます。
甘酒の効果 飲むタイミングとアレンジレシピ
・甘酒を飲むおすすめのタイミング
基本いつ飲んでもok!
強いて言えば、朝の時間帯がおすすめです。
甘酒に含まれるブドウ糖によって脳が活性化して目覚めがスッキリしますし、1日を朝から元気に過ごせます。
あなたはどのような効果を得たいですか?
・ダイエットや美容効果を狙いたい人は、朝がおすすめ!
糖分を吸収することによって血糖値が上がり、代謝が向上するためエネルギーの消費量も増えるので、瘦せやすくなります。
・午後からの仕事や勉強に集中したい人は、昼がおすすめ!
ブドウ糖とビタミンB1により、脳が活性化され集中力がアップします。
・安眠したい、リラックスしたい人は、夜がおすすめ!
夜の甘酒は一日の疲れた体を癒やします。
甘酒に含まれているGABAが、ストレスを緩和してくれます。
甘酒の摂取によって、体もあたたまり、リラックスでき、安眠の効果も向上するでしょう。
また、3時のおやつのかわりに甘酒を飲むことで、少量でも満腹感が得られ、素早い吸収で疲れを軽減してくれますよ!
・どのくらい飲む
甘酒の一日の適量は150〜200mlまでとされています。
この量を目安に摂取すると効果的です。
栄養補給、水分補給、気分転換、体を温めるなど、さまざまな目的に合わせて、何回かに分けて飲むこともおすすめです。
たとえば、スポーツなど体を動かす前でエネルギーを必要としているとき・疲労回復が必要なとき・仕事や勉強の前後・休憩時など、身体・脳の栄養補給や気分転換としても効果的です。
そのままの状態ストレートで少量を飲んでもいいですし、水やお湯、豆乳や牛乳、ほうじ茶などで割って飲むといいでしょう
・アレンジレシピ
体に良い効果がたくさんある甘酒は、毎日飲み続けたいもの。
甘酒はそのままでも美味しいですが、いろいろなアレンジも試してみて!
飽きずに美味しくいただけますよ!
冬の寒い時期や寝る前は、人肌に温めたホット甘酒や、ハチミツや生姜入りの甘酒もおすすめです。
また、夏の暑い時期やスポーツをした後は、炭酸で割るとスッキリといただけますよ!
ホット甘酒:人肌に温める
甘酒ソーダ割り:甘酒とソーダ水を1対1で割る
ハチミツ生姜甘酒:甘酒にハチミツと生姜を適量入れる
甘酒ミルク:甘酒と牛乳を1対1混ぜる
甘酒ヨーグルト:甘酒+ヨーグルトを1対1で混ぜる
甘酒フルーツスムージー:好きなフルーツと甘酒をミキサーで混ぜる
このほか、甘酒はパンケーキやマフィンといったお菓子作りや料理の調味料として、さまざまなアレンジができます。
甘酒の効果 知っておきたいデメリット
甘酒にはメリットが多い一方で、気をつけなければならないポイントもあります。
・飲みすぎ
毎日飲むことでメリットを得られやすい甘酒ですが、飲む量には注意が必要です。
甘酒は甘くて美味しいので、たくさん飲みたくなりますが、飲み過ぎには気をつけましょう。
健康やダイエットに良く、栄養価が高いと言ってもその多くはブドウ糖です
すばやくエネルギーになりますが、とりすぎは血糖値を急激にあげて体脂肪を貯めることになり、太る原因になります。
また、血糖値が上がり過ぎることで、糖尿病や妊娠糖尿病のリスクにもなります。
甘酒は1日に150~200ml程度が目安とされています。
精製飲料水のようにごくごく飲むドリンクではなく、栄養補助食品という考え方で摂取するのが適切です。
水・牛乳・豆乳・炭酸水などで希釈して、色々なテイストの甘酒を楽しんで飲んでくださいね!
バランスのいい食事の補助的に、適度に摂取するのがいいでしょう。
・温め過ぎ
甘酒は温めて飲むことが多いですが、温め過ぎに注意してください。
温め過ぎると麹の酵母や酵素が死滅してしまうので甘酒の栄養を十分に摂れなくなってしまいます。
適切な温め温度は60℃前後です。
麹甘酒は、米麹にお湯を加え、温度60℃前後を保って作られます。
麹菌の働きが活発になる60℃前後にすることで、米のデンプンが分解されブドウ糖やオリゴ糖に変化するのです。
つまり、甘酒を60℃前後に温めていただくと、最も効率よく甘酒の栄養が摂取できるということになります。
・カロリーが高い
甘酒は栄養分が豊富ですので、カロリーは高めです。
牛乳とコーラで比較してみると、
- 甘酒: 76Kcal(100mlあたり)
- 牛乳: 61kcal(100mlあたり)
- コーラ:46kcal(100mlあたり)
※日本食品標準成分表2020年度(八訂)参照
甘酒のカロリーは 飲み物の中では高めです。
・賢く取り入れるコツ
ブドウ糖やアミノ酸が多いということは、甘みや旨味が多いということです。
特に麹甘酒は、砂糖やみりんの代わりに”調味料”として使うと、料理の味がグ~ンとアップ!
一度に使う量は少量だし、摂り過ぎる心配もなく、甘酒の栄養も取り入れられるので一石二鳥!
スムージーやヨーグルトに使うのはもちろん、たとえばホットケーキの砂糖代わりに、醤油と合わせて肉や魚を漬け込み甘辛焼き、ディップやドレッシング、スープや煮込み料理の隠し味など、普段の料理にも幅広く活用できます。
甘酒の効果 麴甘酒の作り方
材料
- 米麹
- 水
※温度計があると便利です
作り方【ヨーグルトメーカーを使い60℃で6時間発酵させる】
- 米麹をバラバラにする
- お湯を沸かす 60℃前後 ※お鍋にお湯をはって小さな泡が立つと大体60℃あるいは、沸騰したお湯に同量より少し少なめの水を混ぜると大体60℃
- 米麹とお湯を混ぜる
- ヨーグルトメーカーにセット。60℃で6時間に設定したら発酵スタート。
- 味見:6時間後、味のチェックをします。甘みが出ていたら完成です。
- 保存:容器に移し、冷蔵庫で保管します。
作り方【炊飯器の保温モードを使い布巾で覆い6時間発酵させる】
- 米麹をバラバラにする
- お湯を沸かす 60℃前後 ※お鍋にお湯をはって小さな泡が立つと大体60℃あるいは、沸騰したお湯に同量より少し少なめの水を混ぜると大体60℃
- 米麹とお湯を混ぜる
- 炊飯器にセットし、布巾をかぶせ蓋を開けたまま6時間発酵させる。
- 味見:6時間後、味のチェックをします。甘みが出ていたら完成です。
- 保存:容器に移し、冷蔵庫で保管します。
ちなみに私は、出来上がった甘酒をミキサーでペイスト状にしています。
飲み物としてはもちろん、調味料の代わりとして使っています。
粒々感が苦手な人におすすめです!
まとめ
栄養豊富な甘酒は、栄養ドリンクとして古くから日本人に親しまれてきました。
疲労回復に良いビタミンB群だけでなく、食物繊維やオリゴ糖なども含み、腸内の善玉菌を増やして腸内環境を整え、便秘予防や便秘解消に役立ってくれます。
お米から作られる麹甘酒は、お米本来の優しい甘みで、砂糖やアルコールは一切含まれません。
ですが、お祝いの席や神社仏閣でふるまわれる甘酒には、酒粕甘酒の場合もあります。
特に、小さいお子様や妊婦さんは確認してから飲むようにしてくださいね。
冷やしても温めても美味しい甘酒ですが、飲み過ぎには気をつけてくださいね。
飲み物として、お料理の隠し味として、砂糖・みりんの調味料として、幅広く活用できます。
ぜひ、お試しください!
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