最近、米粉の健康効果が注目され、スーパーやコンビニの店頭でも米粉製品をよく見かけるようになってきました。
実は、米粉は古くは奈良時代から和菓子やおかき・お煎餅などに使われてきました。
近年では、製粉技術の進歩により、米粉は小麦粉の代わりにパンやお菓子の材料として使われ、米粉で作られたパンやケーキはモチモチしてしっとりとした食感が評判です。
また、レストランやカフェのメニューなど、日常で目にする機会が増えてきた「グルテンフリー」のキーワード。
飲食店でも、小麦粉の代わりにグルテンが含まれていないグルテンフリーの「米粉」を使ったメニューも多くなってきています。
さらに、輸入小麦の価格高騰を受け、国内で自給できる「米粉」に注目度が高まり、米粉の市場規模は拡大傾向にあります。
今回は、米粉と小麦粉の違いやそれぞれの特徴・気になる糖質とカロリーや便利な使い方・アレンジレシピを紹介します。
米粉と小麦粉の違い 米粉とは?小麦粉とは?
米粉とは
米粉とは、お米を粉にしたものです。
原料は大きく分けて「うるち米」「もち米」の2種類があります。
うるち米を原料とするものに「上新粉」「新しい米粉」、もち米を原料とするものに「白玉粉」「もち粉」があります。
「新しい米粉」は、従来の米粉「上新粉」と比べて粒子が細かいのが特長です。
最新の精製技術によって加工された「新しい米粉」は、パン・お菓子・麺類・料理など、さまざまな使い方ができるようになりました。
米粉独特の風味・食感・ヘルシーそしてグルテンフリーであること、麺・スイーツ・料理など幅広い用途から、最近人気が高まっています。
・米粉の特徴
米粉を使用すると、米粉独特の「しっとり」&「もちもち」とした食感が楽しめます。
米粉自体は、小麦粉よりもサラサラとしていて「粒子が細かい」「水分を吸収しやすい」「油を吸いにくい」といった特徴を持っています。
例えば、パンの生地に使うと、水分を吸収しやすいという特性上、しっとりモチモチに焼き上がります。
また、クッキー作りに米粉を使えば、サクサクに仕上がります。
さらに、揚げ物に使用すると、とってもヘルシーでカリカリ食感が得られます。
米粉は小麦粉に比べて、油の吸収率が少なく、揚げ物の衣に使うとヘルシーで軽い仕上がりになります。
しかも、時間をおいても揚げ物の衣をカラッと保ち、油っぽくなりません。
米粉の水分を吸収しやすく、油を吸いにくいといった特徴は、調理法によって様々な食感を楽しめます。
・米粉の栄養素
お米は粉砕しても栄養価は変わりません。
なので、米粉にはお米と同様にさまざまな栄養が含まれています。
5大栄養素である炭水化物・タンパク質・脂質・ミネラル・ビタミンがバランスよく含まれています。
加えて、第6の栄養素として注目を集める食物繊維も含まれています。
小麦粉とは
小麦粉は小麦を製粉した粉で、小麦粉は薄力粉・中力粉・強力粉などを含む総称です。
小麦粉に含まれるグルテンの量や性質によって、それぞれ区分されます。
グルテンの含有量が多い強力粉は粘り気が強く、グルテンの含有量が少ない薄力粉は粘り気が弱くなります。
・小麦粉の特徴
小麦粉はパン・麺類・お菓子などの材料として広く使用されています。
小麦粉は、でんぷん・たんぱく質などの成分を含んでいます。
中でも、グルテンというたんぱく質は小麦独自のもの、水を加えてこねると弾力と粘り気を持つ生地になる特徴があります。
・小麦粉の栄養素
小麦粉には3大栄養素である炭水化物、タンパク質、脂質がすべて含まれています。
また食物繊維や、ビタミンB1・B2・E、パントテン酸・ナイアシンなどのビタミン類、リン・カルシウム・鉄・カリウム・ナトリウム・マグネシウムといったミネラル類などの栄養素が含まれています。
米粉と小麦粉の違い 糖質とカロリー
米粉と小麦粉の糖質とカロリーを比較してみましょう。
100gあたり | カロリー(kcal) | タンパク質(g) | 脂質(g) | 炭水化物(g) |
米粉 | 356 | 6 | 0.7 | 81.9 |
小麦粉(薄力粉) | 349 | 8.3 | 1.5 | 75.8 |
(中力粉) | 337 | 9.1 | 1.6 | 75.1 |
(強力粉) | 337 | 11.8 | 1.5 | 71.7 |
日本食品標準成分表 2020年(八訂)参照
わずかな差ではありますが、米粉の方が高カロリーであることが分かります。
すこし意外な結果ですね。
米粉のカロリーは100gあたり356kcalで、小麦粉(薄力粉)のカロリーは349kcalと、ほとんど差はありません。
しかし、パンを作った場合で比較すると、米粉のほうが水分量が多くなり、カロリーは米粉パンのほうが低くなる傾向があります。
糖質を比べると、カロリーよりも大きな差が出ました。
これは、米粉はもともとお米なので糖質が多く、小麦粉はたんぱく質が多いことが理由です。
小麦粉のなかでも、グルテン量が多く粘り気の強い強力粉が、もっとも低糖質ですね。
米粉と小麦粉の違い グルテンの有無
米粉と小麦粉の最大の違いは、グルテンが含まれているかどうかという点です。
小麦粉にはグルテンが含まれていますが、米粉には含まれていません。
小麦粉は、水を加えてこねると粘り気が出ます。
これは、小麦粉に含まれる数種類のタンパク質が結びつきグルテンが作られるからです。
グルテンとは小麦に含まれる特有のたんぱく質で、私たちが普段食べているパン・パスタ・うどんに多く含まれています。
グルテンの働きで、パンがしっとり・モチモチ食感になったり、うどんにコシや弾力が生まれます。
米粉と小麦粉の違い アミノ酸の含有量
米粉と小麦粉は、人の体に必要となるアミノ酸の含有量が異なります。
米粉は小麦粉より多くのアミノ酸を含んでいます。
タンパク質の品質の評価を表す指標「アミノ酸スコア」では、米粉が65に対し、小麦粉は38~44と米粉が小麦粉より高い値を示しています。
つまり、米粉のほうがより栄養価が高く、良質のたんぱく質を含み、栄養性に優れているといえます。
米粉の素材はお米なので、アミノ酸以外にもビタミンB1やビタミンEなども豊富に含まれている栄養価の高い食材と言えます。
※アミノ酸スコアが100に近いほど、たんぱく質の栄養価は高く、良質のたんぱく質であるといえます。
米粉と小麦粉の違い 油の吸収率
米粉のほうが小麦粉よりも油の吸収率が低いという違いがあります。
たとえば、天ぷらを揚げるときに米粉を使うと無駄な油を吸いにくく、サクサクとした仕上がりになります。
しかも、揚げた後でもサクサク感が続きます。
米粉と小麦粉の違い 米粉の使い方
お米を粉にした米粉は、小麦粉の代わりにパン・ケーキ・焼き菓子などのスイーツや料理の材料として使うことができます。
米粉は調理法によって食感が変わってきます。
水分を加えれば、しっとり・モチモチになり、直接加熱すれば、パリパリ・サクサクになります。
さまざまな食感を楽しめる米粉はいろいろな料理で活用したいものです。
米粉は小麦粉と違ってグルテンを含まないので、粉どうしがくっつきにくくダマになりにくいので、ふるいにかける必要がないため扱いやすくなっています。
・米粉の使い方 その① 焼き菓子
グルテンを含まない米粉は、小麦粉に比べ生地がまとまりにくいのが欠点です。
逆に、サブレ・ショートブレッド・サクサククッキー・スコーンなど、ほろほろと崩れるようなホロホロ感を出すお菓子作りにはピッタリです。
・米粉の使い方 その② パンやケーキに
米粉は吸水率が高い(水を多く吸い込む)のが特徴です。
ケーキやパンに入れると、水分をしっかり含んでしっとりとした食感に仕上がります。
パウンドケーキやシフォンケーキは、パサつきを感じず、プロのような仕上がりに!
また、米粉で作るパンもパサパサしないので、子供やお年寄りでも食べやすくなります。
・米粉の使い方 その③ 揚げ物
グルテンを含まない米粉は、油を吸いにくいため、揚げ物をカラッと揚げることができます。
米粉は小麦粉に比べて水で溶いてもサラッとしています。
天ぷらの衣を作るとき、小麦粉は「混ぜ過ぎない」のが鉄則ですが、米粉は粉が見えなくなるまで「よく混ぜる」のがポイント。
冷やした水を使う必要もとくにありません。
・米粉の使い方 その④ ホワイトソース
小麦粉で作るホワイトソースは、粉っぽさを避けるために小麦粉をバターで炒めてから牛乳を加えて作るのが一般的。
ですが、米粉は冷たいままの牛乳に米粉をとかし、好みのかたさになるまで火にかけるだけ。
・米粉の使い方 その⑤ ソテーやムニエルに
焼き餅のカリカリ、おこげのパリッ、焼きせんべいのバリッ、サラダせんべいのサクサクなど、お米は熱の加え方で、いろいろな食感を楽しむことができます。
これはお米を粉にした米粉も同じで、ポークソテー・ムニエル・蒲焼きなどに、米粉をはたいて焼くと、カリッと香ばしく焼き上がります。
・米粉の使い方 その⑥ とろみ付け
米粉でとろみもつけられます
米粉でとろみをつけるときは、片栗粉と同様に水で溶いてから料理に加えます。
片栗粉にくらべると固まるスピードが遅いので、「固まってしまった!」といった失敗がありません。
ただし、片栗粉は火をとおすと透明になりますが、米粉は白いままで透明になりません。
透明感を出したいお料理には片栗粉を使ってくださいね!
・米粉の使い方 その⑦ 下味づけ
米粉は旨味を逃しません。
肉にあらかじめ下味をつけておく回鍋肉(ホイコーロー)や青椒肉絲(チンジャオロース)などの中華料理の場合、肉に調味料とともに米粉をまぶしてから調理すると、味がしっかり肉にからまり旨みをのがしません。
他にも、鴨や鶏の治部煮のように、肉に粉をはたいてから調味料で煮る料理なども、米粉が汁にとろみをつけ、肉の旨みを封じ込める働きもします。
以上、米粉は、小麦粉の代用はもちろん、とろみ付けや下味づけなど片栗粉の代用にもなります。
まとめ
最近、米粉はグルテンフリーで体にやさしいと注目されています。
従来の米粉(上新粉)に比べて細かく粉にする技術が進化し、パンやケーキ、麺類などの様々な加工品が米粉で作れるようになりました。
米粉は小麦粉を使うほとんどの場面で代用可能になり、いつもの料理やお菓子作りに米粉を使えば、食感や風味が変わって食の楽しみが広がります。
ですが、小麦粉を使った場合と料理の食感が違うので、初めて使うときは小麦粉と米粉を半分ずつにして使うなど、様子を見ながら米粉の配分量を増やしていくのをおすすめします。
うれしいことに、サラサラとして水に溶けやすい米粉は後片付けも簡単!
水でさらっと流すだけで調理器具などがきれいになるので、洗い物が簡単になるうえ、水・洗剤の使用量も減ります。
新しい「米粉」は、パンやお菓子のスイーツから料理までさまざまな使い方ができるので、興味のあるレシピで米粉を試してみてくださいね!
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