大豆ミートは、大豆をお肉に見立てて作られた加工食品「代替肉(だいたいにく)」の中のひとつ。
ここ数年、欧米ではとくに、環境面の配慮から牛肉や豚肉のような家畜肉の代わりに植物由来の代替肉を選ぶ人が増え、日本でも注目されるようになりました。
その中でも主流になっているのが大豆を原料に使った「大豆ミート」です。
日本人の場合はとくに健康意識の高まりに合わせて大豆ミートに着目する食品メーカーが増え、商品開発が進められています。
国内の大手レシピサイトCookPadが発表する恒例の「食のトレンド」で、大豆ミートが選ばれるなど注目度は高く、最近ではスーパーで簡単に買えるようになりました。
世界規模で大豆ミート(代替肉)の市場が急速に拡大しています。
今回は、大豆ミートとは?大豆ミート以外の代替肉は?その人気の理由について解説します。
大豆ミート(代替肉)とは?なぜ人気?/大豆ミートとは
大豆ミートとは、代替肉のひとつで大豆から作られた植物性のお肉に似せた食品です。
高タンパクでヘルシーな「第4のお肉」として注目されています。
別名ソイミート(soy meat)とも呼ばれています。
高タンパクでヘルシーな理由は、まずその主原料の大豆にあります。
大豆は、別名「畑のお肉」と言われ、植物性たんぱく質が豊富な食材です。
しかも、大豆は非常にたんぱく質のバランスがいい「アミノ酸スコア100」。
なので、大豆が原料の大豆ミートは、お肉に負けないほどの良質なたんぱく質を摂ることができます。
また、大豆ミートは加工段階で大豆の油分が取り除かれているため低カロリー・低脂質です。
このように、大豆ミートはお肉と殆んど変わらないたんぱく質量であるのにもかかわらず、低カロリー・低脂肪である点が大きな魅力となっています。
健康や美容のためカロリーを控えたい人にも支持され、ダイエット食として活用されることも多いのです。
大豆ミートについて更に詳しく見ていく前に、代替肉について少しお話しますね。
大豆ミート(代替肉)とは?なぜ人気?/代替肉とは
代替肉とは、牛・豚・鶏肉といった動物の肉を使わず、植物などで作った「肉の代わりになるもの」「肉以外の食材で作り上げた肉」 のことです。
代替肉は、別名「フェイクミート」「プラントベースミート」「オルタナティブミート」「ソイミート」などとも呼ばれています。
大豆ミート(代替肉)とは?なぜ人気?/代替肉の種類
代替肉の種類は、大きく3種類に分けられます。
1つ目:植物から作られる「植物性代替肉」
植物代替肉には、大豆以外にも米・ソバを原料にしたり、高野豆腐・生麩(なまふ)・マッシュルーム・キノコ・※テンペ・湯葉など色んなものを材料にして使われています。
今回紹介する大豆ミートは栄養価が高く、動物性の肉とほぼ変わらないタンパク質が摂れるため、健康食としても人気があります。
※テンペとは、日本だと納豆菌で大豆を発酵させて納豆を作りますがそれと同様、インドネシア発祥の大豆をテンペ菌で発酵させた少し臭い豆腐みたいなものです。
2つ目:「培養肉」
牛や豚などの動物の細胞を少し取り、それを増やして作られる肉です。
水・飼料・土地など大量の資源を必要とする畜産と比較し環境への影響が少ないこと、動物の命を奪わないで済むことで注目されています。
将来の人口増加による食糧不足に備えるために、培養肉の研究が進められています。
まだ、培養肉は試験段階なので市場に出回っていません。
3つ目:「昆虫」の代替肉
多くの人が、「昆虫食」という言葉を耳にしたことがあるかもしれませんが、実際の市場は未だ小さく、日本のスーパーなどで見かける機会は殆どないでしょう。
とはいえ、
2021年に、EUの欧州食品安全機関が「乾燥ミールワーム(チャイロコメノゴミムシダマシの幼虫)は、製造事業者が提案する使用方法や容量を守る限り、食品として安全性に問題はないとする」と公表しています。
今後、昆虫を由来とする食品市場の拡大が予想されています。
えっ!昆虫を食べるの⁉と驚きますよね。
でも、昆虫食は、アフリカやオーストラリア・南米・タイ・中国などのアジアの伝統的な食文化の一部として継続されています。
今まで昆虫を食としてこなかった欧州でも、昆虫を使った食品が広まっています。
北欧では、自然食品店をはじめ、大手チェーンのスーパーでも昆虫食品が売られています。
コオロギを使ったチョコレート菓子・コオロギの粉末を使用して作られているシリアル・コーロギのローストなど・・・。
日本でも、イナゴの佃煮料理があります。
イナゴは長野県や群馬県、山形県と福島県と宮城県の一部など、海産物が少ない山間部を中心に多く食用とされていたそうです。
現在でも、地元の道の駅などですでに佃煮になっているものも売っているのだとか・・・。
そして、記憶に新しい無印良品のコオロギせんべい!
2020年に発売されましたが、即日完売という人気ぶり。
口コミも〝エビ煎餅のようにサクッと軽い食感で食べやすくおいしい!〟と好評価。
日本でも未来のタンパク質とも言われる「昆虫食」は、徐々に広がりつつあります。
スーパーに並ぶのもそんなに遠くはないかもしれませんね。
個人的には昆虫食はかなり抵抗がありますが・・・ ^-^;
それでは、代替肉の基本的なところがわかったところで、いよいよ大豆ミートについて説明していきますね。
大豆ミートの種類
大豆ミートは、水やお湯で戻して使う「乾燥タイプ」・手軽に使える「レトルトタイプ」・「冷凍タイプ」の3種類のタイプがあります。
用途に応じた使い分けができるため便利です。
大豆ミートの3タイプ
・乾燥タイプ
大豆を原料とし、搾油・加圧加熱・高温乾燥させた食品です。
その都度使いたい分だけ少量でも使えて、残りはそのまま保存できます。
湯戻し時間は5分程度、水切りして使います。
「乾燥タイプ」は戻すと3倍程度に増えるのでよく使う人には特に人気です。
料理酒を少し加えるとふっくらやわらかく戻ります。
市販のソースや調味料と煮ながら戻すと時間を短縮することもできます。
・レトルトタイプ
1~2食分の大豆ミートがパックになっており、湯戻し不要ですぐ調理に使えます。
調理の手間がはぶけて手軽に食べられるのが特徴です。
開封したらそのまま使えるので手軽さよし!
賞味期限は18か月ほど、日持ちするのでストックにもよし!
ただ、開封後は保存ができないので、使い切ってくださいね。
・冷凍タイプ
湯戻しが不要で、冷凍のまま加熱調理に使えます。
お弁当や1人分の調理といった少量使いにも最適です。
ミンチタイプなら通常のお肉に混ぜて使えばヘルシーかつ、お肉の旨味も味わえます。
大豆ミート形状の種類
また、大豆ミートは形状も「ミンチ」「フィレ」「ブロック」の3種類に分けられます。
料理によって使い分けることで、よりお肉に近い見た目・味・食感を楽しむことができます。
・ミンチ
初心者におすすめ!
そぼろ状のひき肉タイプです。
ハンバーグ、ミートソース、麻婆豆腐、ギョーザ、タコスなど和・洋・中のさまざまなひき肉料理に最適です。
通常のお肉より若干柔らかめなので、特にハンバーグは形が崩れやすくなります。
いつもの材料の水分量を少なくする・水分を吸収するパン粉を多めする・デンプン質の野菜(レンコン・じゃがいもなど)のすりおろしを入れると上手く作れますよ!
・フィレ
薄めにスライスした柔らかい薄切り肉のように使えます。
食材に豚肉を使うような料理に最適です。
例えば、しょうが焼きや、キャベツなどの野菜と合わせた回鍋肉、チンジャオロースなど豚肉・牛肉の代わりに使ういいですよ。
スライスを2枚位重ねてパン粉をつけて揚げれば、ヒレカツ風になります。
味付けと工夫次第でいろいろなお料理に利用できます。
私は、フィレタイプもミンチのタイプと同様、とても使い勝手がよいと思います。
・ブロック
ゴロゴロとした大きめのブロックタイプは、食べごたえあります。
から揚げのように下味をしっかり揉み込んで調理する揚げ物に最適です。
大きい分、ミンチタイプよりも大豆の味が強く感じられるので、大豆の臭いが気になる人は、濃いめの味付けにするのがおすすめです。
そしてもう一点、戻した後の水切りは「ギュッ」と強めに!
下味をしっかり吸収させることで大豆臭が軽減されます。
から揚げの他に、カレー・シチュー・すき焼き風の煮物などの料理にもおすすめです。
・乾燥大豆ミートの変わり種!
・・バラ肉タイプ
バラ肉タイプは、湯戻しすると食感が豚バラ肉のようになります。
野菜炒め・回鍋肉(ホイコーロー)・肉じゃがなどの煮物のお肉代わりにおすすめです。
・・手羽先タイプ
最近はいろいろな形の大豆ミートが出ていますね。
形は確かに手羽先のようですが、味と食感は基本的に他の大豆ミートと同じです。
チリソース炒めやバンバンジー風などのお料理におすすめです。
・・もつ肉タイプ
もつ肉のようなヘルシーでジューシーな食感。
豚汁、モツ煮、モツ鍋、味噌煮込みなど、寒い季節の鍋料理に最適です。
こちらも下味をしっかり付けるのがポイント、クックパットにもレシピが載っているので参考にしてくださいね!
・・細切り肉タイプ
湯戻しすると、小えびのような形になる細切りタイプ。
チンジャオロースの豚肉代わり、かき揚げの海老代わりに使えます。
特に、たっぷりのたけのことピーマンを一緒に炒め合わせたチンジャオロースには最適です。
また、唐揚げ、フライにすると、スナックのような感覚で食べられてお子様にも大人気の一品になるので、おつまみやお茶受けにも最適です。
・・チャンクタイプ(ぶつ切りタイプ)
チャンクタイプは戻すと鶏モモ肉のような食感が味わえます。
から揚げ・酢豚・カレー・肉じゃが・焼き鳥風などに最適です。
大豆まるごとミートを湯戻し後に下味をつけて素揚げしたり、軽く炒めてから調理するとより一層おいしく仕上がります。
大豆ミート(代替肉)とは?なぜ人気?/大豆ミートが注目される理由
代替肉の中でも、大豆などの植物性原料を使った市場が急成長しています。
代替肉の一つである大豆ミートが注目される理由は、穀物を餌として育てる畜産と比べ環境負荷が小さいからです。
牛・豚・鶏など、食用の肉となる家畜を育てるためには、たくさんの飼料が必要です。
例えば牛肉の場合、人が食べる1kgの肉に対して、必要となる穀物はおよそ11㎏にもなるそうです。
つまり、私たちは肉を食べるたびに、大量の飼料も消費していることになります。
現在、世界の人口は約79億人、「2050年には約100億人まで増える」と言われています。
人口が増えるとその分食料も必要になりますが、世界の穀物の収穫面積はすでに限界寸前で、1人当たりの収穫面積はどんどん減っています。
このまま世界中の人たちが肉を食べ続ければ、飼料用の穀物はあっという間に足りなくなり、肉の供給が追いつかなくなってしまいます。
これまで、美味しい肉を食べてタンパク質を摂っていましたが、それが難しくなってきます。
こうした事態を防ぐためにも、大豆の肉をはじめとする、植物性の良質なタンパク質を摂ることができる食品が、注目されています。
まとめ
代替肉とは、大豆や緑豆のような植物性の原料から作られ、見かけや食感を肉に近づけた食品のことです。
健康志向が世界的に高まっており、温室効果ガスなどの環境問題の観点からも需要が増えています。
そんな、代替肉の代表的の一つとして最も注目されている「大豆ミート」。
近年、日本でも大豆ミートをスーパーなどで手軽に購入できるようになりました。
国産大豆を使った大豆ミート加工品も増え、食感や味の改良も進んでいます。
大豆ミートはお肉のような食感が味わえるだけでなく、栄養も豊富なので、年齢や性別を問わず魅力的な食品です。
ただ、私自身は、正直言うとハンバーグなどの加工品は積極的に買ったりすることはありません。
お肉はそもそも美味しく、食感・噛み応え・風味など植物にないものをすべて持ち合わせています。
植物ベースのお肉はそういった肉の特色に近づけるため添加物を追加する必要があります。
全てに添加物が含まれているわけではありませんが、健康のために大豆ミートを選んでも、多くの添加物が入っていては本末転倒になりかねません。
日本では需要の高まりを受け農水省は2022年3月、「大豆ミート食品類の日本農林規格(JAS)が施行されました。
大豆だけのものと卵や乳など動物性の原料が含まれた商品が出回り始めたことから、消費者に分かりやすく示すためです。
消費者である私たちもメリット・デメリットをしっかり分かったうえで、商品を選んで購入するようにしていきましょうね!
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